リレーコラム

リレーコラム

新型コロナウィルス感染症によるご葬儀への影響


今冬からの新型コロナウィルス感染症の情勢は現在、少しずつ落ち着きを見せており、普段使いのマスクや消毒剤の品薄状態も随分と解消されてきているようで、日常生活においても様々な業種・サービスで「withコロナ」の形でコロナとの「共存」、「共生」を目指す方向にシフトし始めています。
経済的な側面からも「Go To キャンペーン」が実施されるなど、状況に応じてではありますが、人の移動、交流(集会)、外食などの様々な活動が再開、自粛緩和、規模拡大される傾向にあります。

とは言え、新型コロナウィルス感染症がもたらした社会的な影響、変化は非常に大きく、この先も中・長期にわたって様々な面で不安や不便と付き合っていく事になるものと思われます。

このたびの新型コロナの感染拡大は葬儀社・葬儀業界においても企業として感染症にどのように対処すべきか、そのうえでお客様の利便性もどう確保するのか、そのために何をどう変えていくべきか等を考える契機となったように思います。

私達、シオタニ株式会社でも新型コロナの感染拡大初期に衛生用品や感染症予防のための物品・機器類の手配、設備面の整備や管理、スタッフの行動指針の共有および作業手順の変更、地域の感染者数の動向や医療機関の状況把握など、様々な対応や取り組み、情報の取得・共有を速やかに、かつ同時進行で行わせていただきました。
実際にご葬儀の場面ごとに想定されるリスクとその対応策について協議・検討し、準備が整ったものから順次、対応を開始させていただきました。
具体的にはスタッフの手指消毒、マスク着用はもちろん、出勤時の検温、備品・車輛等の除菌・洗浄、病院などへのお迎えおよび搬送時の防護具の着用、飛沫予防パーティションや空気清浄機の設置など、様々な感染症予防対策に取り組んでおります。
ご遺族やご弔問(参列・会葬)の方にも協力いただき、会館エントランスでの検温、手指の消毒(消毒剤噴霧器の設置)、受付や式場内で密にならないような誘導・案内(ソーシャルディスタンスの確保)や換気の実施、火葬場での立会い人数にも留意させていただいております。
また通夜振る舞いやお斎(中陰)の会食の料理・引出物の手配などでも、旧来の形に囚われず、様々な状況に合わせて柔軟に対応できるよう商品ラインナップや段取りなどの見直しを行っております。
遠方にお住まいの方やご高齢の方が弔問を見合わせるケースも多くなっているため、YouTubeを用いた通夜・葬儀(読経)の動画のLIVE(生)配信も実施しております。
またご遺族の方においては弔問を辞退された方からご葬儀後にお香典が届き、後日、返礼品や粗供養品を送付させていただくといった対応も非常に増えております。
ご葬儀の事前相談などでも感染リスクのないPC、スマホ等、インターネットを用いたオンラインでの事前相談対応を実施しております。

ご葬儀における様々な変化は、今後、新型コロナ感染症が徐々に沈静化していったとしても全てが元の状態に戻る事はないのではないかと思われます。
状況にもよりますが、感染症への予防・対策は程度の差こそあれ継続すべきでしょうし、コロナやコロナに伴う諸事情を理由に「ご葬儀をしたくない」、または「ご葬儀を簡単に済ませたい」と考える方もいらっしゃると思います。宗教的なものも含めて価値観に大きな変化があった方もいらっしゃるかもしれません。
逆にコロナ禍で、「大事にしていた人との関わりを再確認する場」、「故人への労いや感謝を伝える機会」として、「ご葬儀の大切さ」を再認識なさった方も多くいらっしゃる事と思います。「コロナで大変な中でも周囲から気遣ってもらえた」、「遠隔地にいたために弔問にしたかったのに行けなかった」、「家族数名しか呼ばれなかったので故人に会いたかったのに会えなかった」等の経験をされた方も少なからずいらっしゃると思います。

このたびの出来事は私達にとっても、ご葬儀において「変わった事」、「変えられる事」、「変えるべきでない(かもしれない)事」をしっかりご遺族の方にお伝え(ご提案)する事の大切さを感じ、その事について考える機会となりました。
同様に皆様にも「ご自身やご家族にとって何が大切か」、「変えたくない事は何か」、「送られる側と送る側、どちらも納得できる安らかで幸せな送り方はどんな形か」など、いろいろと考える機会になさっていただけたら良いのではないかと思います。

私達、シオタニ株式会社では、どのような方に対しても「大切な方を安心して見送っていただける安全な場所」を準備し、そのうえで「人とのつながりや絆を感じることができるお別れの時間」を過ごしていただけるよう、今後も一層の努力をしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

シオタニ株式会社
一級葬祭ディレクター
(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査)
川本 直