リレーコラム

リレーコラム

ふたりの最期の七日間


終活でエンディングノートを記載して遺族に思いを伝える方法も素敵だと
思いますが、今回は「詩」を遺した心温まるお話をご紹介させていただきます。
2年前、ある新聞で投稿欄に71歳の男性の文章と詩が掲載され
大きな話題と反響になりました。
がんで亡くなる妻が病室の枕元のノートに「七日間」という詩を遺したお話です。
あまりにも反響があり、本も出版され、TVでも取り上げられました。
その詩を全文ご紹介します。→


「七日間」

神様お願い この病室から抜け出して七日間の元気な時間をください
一日目には  
 台所に立って 料理をいっぱい作りたい
 あなたが好きな餃子や肉味噌 カレーもシチューも冷凍しておくわ
二日目には
 趣味の手作り 作りかけの手織りのマフラー
 ミシンも踏んでバッグやポーチ 心残りがないほどいっぱい作る
三日目には 
 お片付け 私の好きな古布や紅絹
 どれも思いが詰まったものだけど どなたか貰ってくださいね
四日目には
 愛犬連れて あなたとドライブに行こう
 少し寒いけど箱根がいいかな 思い出の公園手つなぎ歩く
五日目には
 子供や孫の 一年分の誕生会
 ケーキもちゃんと11個買って プレゼントも用意しておくわ
六日目には 
 友達集まって 憧れの女子会しましょ
 お酒も少し飲みましょか そしてカラオケで十八番を歌うの
七日目には
 あなたと二人きり 静かに部屋で過ごしましょ
 大塚博堂のCDかけて ふたりの長いお話しましょう
神様お願い七日間が終わったら
 私はあなたに手を執られながら 静かに静かに時の来るのを待つわ
 静かに静かに時の来るのを待つわ

 

作:鳥越介順