リレーコラム

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新型コロナウィルス感染症による終活への影響


皆様、いかがお過ごしでしょうか?
このところの新型コロナウィルス感染症の情勢は世界的に更なる感染拡大の様相を呈しており、日本においても東京、大阪などの都市部を中心に新規感染者数が大きく増加しつづけています。ここ石川県でも再びクラスターによる感染者が発生しており、未だに予断を許さない状況にあるといえます。皆様も日常においては依然として自衛や自粛によるご不便やご不安を感じながらの生活を強いられていることと思います。

この先も新型コロナウィルス感染症への対応は長期に及ぶであろうことが予想されますが、これまでは普通に元気に暮らしていた人達にあっても、「死」がコロナ以前よりもずっと身近で現実的なものであると再認識された方は多いと思います。それに加え、日常生活や仕事のあり方、収入など、身の周りを取り巻く様々な物事や価値観の変化による漠然とした先々への不安や心配は「終活」に対する意識にも大きな影響を及ぼしているようです。これまでは自身の「終活」にはあまり積極的ではなかった「シニアよりも若い年齢層」である40代、50代の方達においても、万が一の事を意識して「終活」や「終活に類する情報収集」を前倒しで始める方が出てきているようです。

「終活」や「終活に類する情報収集」については、例えば、現在、指定感染症に指定されている新型コロナウィルス感染症の検査・治療の際の費用(公的負担とその期間)に関しての確認、各々が契約している保険の契約内容や新型コロナウィルス感染症による入院治療・死亡時の対応内容や特別措置の有無などについての確認を行う方が多いようです。さらに今回のコロナ禍(とそれに伴う収入減など)をきっかけとして保険会社の変更や保険契約内容の見直しを検討している方もいらっしゃるようです。

またステイホーム期間中に「終活」の第一歩として「エンディングノート」を書き始めたり、葬儀、納骨、供養、相続、死後の手続き等についてお調べになったり実際に段取りを始められた方も多く、身の回り品の処分やPC・スマホなどのデータ整理など、自分にとって必要なものと不要なものを生前に選別・整理・処分する「生前整理」、「断捨離」を始められた方もいらっしゃるようです。

私が勤務している葬儀社のシオタニ株式会社においても、ここ最近はお客様から「もしも自分や身内に万が一の事があったら(コロナ禍の中で特に何に気を付けるべきで)どのように葬儀を執り行えばよいか?」、「通夜、葬儀に弔問する際にはコロナ状況下ではどのようなことに配慮(あるいは注意)したらよいか?」などのご質問を頂戴し、お答えする機会が増えています。また、ご葬儀の事前相談の件数も増えており、相談内容もより具体的な部分まで詰められる傾向、ご葬儀費用のお見積りを希望される傾向が強くなっています。ご相談は接触を伴わない電話やメール、Webなどでのご対応、ご葬儀の資料は手渡しではなく郵送やポストインでのお届けが増えており、ご入会も(スタッフとの対面が不要でコンビニ決済などが可能な)ホームページからのご入会が増えています。会館での対面での事前相談もお受けしていますが、マスクを着用したうえで社会的距離を保ち、換気に配慮しながらご対応させていただいております。

シオタニ株式会社では「新型コロナウィルス感染症の拡大予防のための取り組み」として、スタッフの検温や防疫対策、備品や車輛の殺菌・消毒はもちろん、会館での三密対策など、様々な取り組みを行わせていただいております。詳細な取り組み内容につきましてはホームページなどでもご確認いただけますので、ご興味がおありの方はご覧になっていただけたらと思います。

現在、私も含めてですが、多くの人が新型コロナ感染症の流行に伴う大きな価値観の変化を受け入れ、リスクと向き合って生活しています。日常においてはまだ思うような外出や移動がしづらい状況ですし、いろいろと不便や不自由を感じる事もあると思います。親戚や友人ともなかなか気軽に会えない事も少なくないストレスになっている事と思います。コロナ禍にあってはどうしてもこのようなネガティブな面が真っ先に思い浮かびますが、副次的な影響・変化ももたらされています。社会全体の「健康」、「医療従事者をはじめとした社会生活を維持するために必要不可欠な職種に携わる方々」への意識や理解は飛躍的に向上したように思われますし、ステイホーム期間中に家族と一緒に過ごす時間が増えたことで互いの理解が深まり「家族の大切さや絆」を再認識出来た方も多いのではないでしょうか。私自身もこれまで自由で安全で快適な生活を当たり前のように送れていた事のありがたみ、家族をはじめとした生活を支えてくれている多くの人達に対する感謝の気持ちをあらためて感じる事が出来ました。

冒頭でも書きましたが、この先もコロナとの闘い(または共生)はある程度の期間は続くものと思われます。当たり前のことが当たり前でなくなっている今だからこそ、自分自身や大切なご家族のために「終活」について考える機会にしていただければと思います。
私自身も葬儀社のスタッフとして、また社会の一員として「やるべき事」を粛々と行いつつ、「終活」などで皆さんのお役に立てるよう精一杯努めてまいりたいと思います。

シオタニ株式会社
一級葬祭ディレクター
(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査)
川本 直