リレーコラム

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納棺の儀とは?


大切なご家族を亡くされたご遺族の方に故人様をお送りするためになさっていただくご準備の一つに「納棺の儀」があります。

映画「おくりびと」をご覧になられた方はご存知かもしれませんが、お布団にご安置されている故人様のお身支度を整えて御寝棺にお納めするまでの一連の儀式を表す言葉です。

この「納棺の儀」ですが、いつ、どのように行われるかというと、多くはお通夜当日の日中から夕方にかけて、ご遺族様や血縁の近いご親戚様の立会いの下で行われます。およそ1時間弱ほどのお時間ではありますが、ご遺族様にとってはお通夜の前に故人様と向き合い、ご一緒にお過ごしいただける大切なお時間となります。立ち会われる方の服装には特に決まりはなく、喪服でなく平服でも良いですが、派手な服装は避けられたほうが無難といえます。

地域的な慣習や故人様のご遺体の状態、ご遺族様の意向などによりお身支度の手順や内容は若干、異なりますが、今回は一般的な「納棺の儀」の流れをご紹介したいと思います。

  1. (挨拶)ご遺族様に向けて納棺師からご挨拶のうえ、口上を述べさせていただきます。
  2. (洗髪・セット)故人様の頭皮・毛髪を温水シャワー(ヘッドスパ)にて洗浄し、ドライヤー、ヘアブラシなどで整えさせていただきます。
  3. (お体のケア)故人様のお身体を綺麗に拭き清め、手足の爪を切りヤスリがけなどをさせていただきます。お身体にはオイルや乳液で保湿を目的としたマッサージも行わせていただきます。
  4. (お着替え)あの世での旅支度として足袋や経帷子(仏衣)などの装束を身に着けさせてさせていただきます。
  5. (お顔周りのケア)目・鼻・耳の清拭、口内洗浄をし、お顔周りの産毛やヒゲを剃らせていただきます。目元や口元も閉じていなければお閉じするなどし、整えさせていただきます。
  6. (お化粧)男性、女性ともに生前の故人様らしいお顔色になるようお化粧させていただきます。
  7. (ご納棺)故人様を御寝棺に納めさせていただきます。ご遺族様には故人様へのお手紙や愛用品(思い出の品)などの副葬品をお納めいただきます。
  8. (挨拶)ご遺族様に対して納棺師からお立会いいただいたことへの御礼のご挨拶をさせていただきます。

納棺師は故人様をなるべく生前に近いお美しい姿でお送りいただくため、この「納棺の儀」にあたらせていただいていますが、ご遺族様の要望により「納棺の儀」に参加いただき、故人様のお体を拭いてあげたり、足袋を履かせてあげたり、お化粧をしてあげることが可能です。また、故人様が生前にご愛用なさっていたお化粧品やお化粧道具などがあれば、「納棺の儀」にて使わせていただくことも可能です。

ご遺族様にはこの「納棺の儀」を『故人様とご一緒に過ごされたかけがえのない日々に思いをはせる機会』、『故人様に対して「ありがとう」や「お疲れ様」などのこれまでのたくさんの感謝や労いの気持ちをお伝えいただく機会』となさっていただけたらと思います。

シオタニ株式会社
一級葬祭ディレクター
(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査)
川本 直